pp―the piano players―
 理由を求めるのは、弾けないからだ。でもそれを早紀が知る由はない。圭太郎は伝えないし、問われなければ僕も言おうとは思っていない。周りが動いてどうにかなるのではなく、圭太郎の内面の問題だからだ。

 早紀の胸がゆっくりと上がり、同じだけ時間をかけて下がった。そうやって静かに大きな呼吸をして、瞬きをした。

「だめだよ」

 早紀はきっぱりと言った。
「圭太郎君は、誰かのためじゃなくて、自分の居場所を自分で作るためにピアニストでいて」

 もっと強い思いが、たくさんの言葉が、早紀の中で渦巻いていることは想像に難くない。その中から最善のものを選んで舌に乗せている。
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