pp―the piano players―

 中間部の心地良い低音。目を閉じていると、圭太郎君がすぐそばで何か話しているような、深い安心感と旨の高鳴りがある。

 聞いているよ。
 ねえ圭太郎君。わたしはずっと圭太郎君と一緒にピアノを習ってきたね。わたしは今日の演奏で一旦ピアノを離れるけど、先生の教室はこの発表会で終わりだけど、でもいつまでも圭太郎君のピアノが好きだよ。



「おい」

 呼ばれて目を開ける。

「ちゃんと聞いてろって言ったのに」

 圭太郎君が前にいた。頭にぽんと手が置かれる。色んな音を生み出す大きな温かい手。そして別の手がわたしの背中を押す。先生の手。ほら行ってらっしゃい、あなたが弾きたいこと、やりたいこと、悩んでいること、全部全部出してくるのよ。先生の手は良く喋る。

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