pp―the piano players―
「先生は、圭太郎君のコンサートに行きますか」
先生はすい、と首を傾げた。それから思い出したように口を開けて、席を離れた。
「一昨日かな。帰って来るなり、裸のままぽんと渡して来てさ」
先生が戻って来た。テーブルに置かれたチケットは二枚。先生と加瀬さんの分だ。
「でもこの日は、ちょうど行けないんだよな」
加瀬さんが言うのに合わせて、先生も苦笑いをする。
「クラシックの大きいイベントがあるだろう? それに出るんだよ、俺も美鈴さんも」
「先生、演奏をするんですね」
今度はにっこりと、先生は笑顔で頷く。先生が外で演奏するなんて、何て素敵なんだろう。