pp―the piano players―
「圭太郎のはどうするんだ?」
加瀬さんに尋ねられても、すぐに返答ができない。先生の演奏する時間と圭太郎君の演奏する時間が重なっていなくて、かつ酒井君が了承してくれるならどちらも聴きに行きたい。
そうこう考えているうちに、玄関から
「先生、こんにちはー」という元気な声が聞こえてきた。先生は時計を見上げるとにっこり笑って、玄関へ向かった。わたしは先生の後を追った。
ドアの外には小さな子が、大きめのバッグを肩にして立っている。小学生になるかならないかくらいの女の子だ。
「お姉ちゃん、こんにちは」
無垢な笑顔を向けられて、わたしも挨拶を返した。
「こんにちは。初めまして、わたしは梅野早紀です」
はじめまして、と女の子も自己紹介を返してくれた。が、その子の後ろにいたご婦人が小さく叫び声を上げたことの方が気にかかっていた。
「じゃあね、えみちゃん。一時間経ったらお迎えに来るからね」
「うん、おばあちゃん」
ドアが閉まり、先生とえみちゃんは二階へ上がって行く。やがて二階の防音ドアが閉まると、家の中が静かになった。
加瀬さんに尋ねられても、すぐに返答ができない。先生の演奏する時間と圭太郎君の演奏する時間が重なっていなくて、かつ酒井君が了承してくれるならどちらも聴きに行きたい。
そうこう考えているうちに、玄関から
「先生、こんにちはー」という元気な声が聞こえてきた。先生は時計を見上げるとにっこり笑って、玄関へ向かった。わたしは先生の後を追った。
ドアの外には小さな子が、大きめのバッグを肩にして立っている。小学生になるかならないかくらいの女の子だ。
「お姉ちゃん、こんにちは」
無垢な笑顔を向けられて、わたしも挨拶を返した。
「こんにちは。初めまして、わたしは梅野早紀です」
はじめまして、と女の子も自己紹介を返してくれた。が、その子の後ろにいたご婦人が小さく叫び声を上げたことの方が気にかかっていた。
「じゃあね、えみちゃん。一時間経ったらお迎えに来るからね」
「うん、おばあちゃん」
ドアが閉まり、先生とえみちゃんは二階へ上がって行く。やがて二階の防音ドアが閉まると、家の中が静かになった。