pp―the piano players―
「今の」
「そう、美鈴さんのお父さんの妹さんと、その孫」

 先生のお父さんの妹。わたしは自分の中に流れている血液が、さっと冷えていくのを感じた。

 ――そんな子ども、一体どうするのよ。
 そう言ってわたしたちを冷たく睨んだ、あの眼差しを忘れることは、たぶん一生出来ない。
「でも、美鈴さんの顔を見ただろう」
 加瀬さんは、先生の座っていた場所を眩しそうに見つめる。

「過去は過去だ。美鈴さんと、あの人が反目していたのは事実。君たちも、あの人をひどく遠ざけていた」
 反論はない。わたしはひたすらに恐れていた。

「けれども、時の流れの方が勝っていたんだよ」
 先生が許したのか、和解したのか。
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