pp―the piano players―
「えみちゃんの父親、つまり美鈴さんのいとこにあたる人がね」
加瀬さんの口元が笑った。
「君たちの演奏を聴いて、いたく感動したんだ」
君たち。
「いつか、三人で月光を弾いただろう? 実はそれ、録音してあるんだ。それをうちの店で流していて」
「宮間が、聴いた」
低い声が上から降って来た。
「月光フリークなんだと、宮間は。腐るほど月光を聴いたけど、先生の一楽章と俺の二楽章、お前の三楽章ほど心を揺さぶる月光は聴いたことがない。そう、加瀬に熱弁を振るったらしい」
言葉に棘が見え隠れする。
加瀬さんはそっとなだめ、言葉を引き継いだ。
「宮間さんがピアニストは誰かとしつこく尋ねて来るからね、僕の恋人とその弟子たちですと答えた。そうしたら、実は娘にピアノを習わせようと思っているんだがこのピアニストを紹介してくれないか、という流れになってさ」
加瀬さんの口元が笑った。
「君たちの演奏を聴いて、いたく感動したんだ」
君たち。
「いつか、三人で月光を弾いただろう? 実はそれ、録音してあるんだ。それをうちの店で流していて」
「宮間が、聴いた」
低い声が上から降って来た。
「月光フリークなんだと、宮間は。腐るほど月光を聴いたけど、先生の一楽章と俺の二楽章、お前の三楽章ほど心を揺さぶる月光は聴いたことがない。そう、加瀬に熱弁を振るったらしい」
言葉に棘が見え隠れする。
加瀬さんはそっとなだめ、言葉を引き継いだ。
「宮間さんがピアニストは誰かとしつこく尋ねて来るからね、僕の恋人とその弟子たちですと答えた。そうしたら、実は娘にピアノを習わせようと思っているんだがこのピアニストを紹介してくれないか、という流れになってさ」