恋愛中毒
「別に、つきあったことはあるけどなにもねーよ」
「えっ!?手繋いだり、キスしたりしたことないの?」
姉貴は俺の目をずっと見てくる。
俺は不自然な態度にならないように平然を装う事に精一杯で、姉貴の言葉が耳に届かなかった。
「陸?」
「姉貴は…?」
今まで避けていた姉貴の恋愛話を俺は自ら聞いた
「キスはあるよ」
また、聞かなければ良かったという後悔が押し寄せてくる。
「だ…誰と?」
「そんなの誰か忘れちゃったょ!あ、もうこんな時間だ…お風呂入らないと」
パタパタ――
そう言って姉貴は走って部屋に戻って行った。
俺の目を見ないで話す姉貴は大抵、嘘をついてる。
しかも、ファーストキスの相手忘れるヤツなんて
普通いねーだろ――
なんで、嘘つくんだよ?