Dragon Hunter〜月雲花風〜
終わりの始まり

曇天

どんよりと厚い雲が空を覆っている。しとしとと降る雨は少しずつ、だが確実に体温を奪っていく。







「エドガー隊長!」

エドガーと呼ばれた男はその声に顔を上げた。


「もう隊長ではないと何度言ったらわかるんだ」


ため息を尽きながらエドガーは駆け寄ってきた青年を見た。口調は呆れつつもその瞳は優しい。

「は。ですが…」

「ふ。ハミルトン隊長殿の勇名はこっちにも聞こえてきている。自信を持て」

「は。ありがとうございます。そうエドガー前隊長におっしゃっていただけるとは光栄です」

さっと顔に赤みのさしたハミルトン。よほどエドガーを慕っていたようだ。


「そうか。しかし、どうしたんだ。お前が俺を頼るなど」

ハミルトンの表情が陰った。それだけではない。言いようのない困惑が見え隠れする。


「ここでは少し難がありますので、詰め所までご同行願えますか」

「いいだろう」

ハミルトンの表情を見てとったエドガーは即答した。





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