Dragon Hunter〜月雲花風〜
叡刃が駆け出した。


「なんでこんな………」

ガシャンと音を立てて格子を掴む叡刃。





「ヤバイな」


バルトがぽつりと呟いた。

彼女は床に横たわっていた。微かに痙攣している。それでもエネルギーを押さえ込もうとしている。


「エドガー、鍵貸して」

エドガーは眉をひそめた。鍵を貸してと言われたことにではない。バルトの声がこれ以上ないほど冷たいものだったからだ。格子に縋り付く叡刃もそれに気付いたらしい。

「何をする気なんだ?」


それには答えずバルトは再びエドガーに言った。

「早よせぇ」


エドガーは渋る。と、その時。


「か、はぁっ」


格子の向こうに横たわる少女が血を吐いた。

「ヒオウっ」

今にも泣きだしそうな叡刃の声。縋り付くような視線をエドガーに向けた。



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