Dragon Hunter〜月雲花風〜
乱暴に彼女の襟首を掴んだかと思うと引き寄せて強引に口をつけ、舌を口の中にねじり込んだ。びくりと彼女の体が震え、今にも舌を噛み切ろうとしていた歯が直前で止まる。突き放そうと暴れる彼女の腕を、自分の腕を彼女の背中に回すことで封じこめ、そのまま直接咒を送り込む。背中に回した手は複雑な印を結び、それに伴い段々と漏れて渦巻いていたエネルギーが収束していく。最後に彼が柏手を打つとそれは完全に収束した。

エネルギーの収束を確認し、バルトは唇を離した。少女はバルトの腕の中でくたりとしている。どうやら気を失っているようだ。





「な、あ」

先程の行為に目を丸くして、口をぱくぱくさせる叡刃。よく見れば顔が真っ赤である。バルトは目をぱちくりさせると噴き出した。エドガーは片手で顔を被うとため息をついた。


「力は封じたで。尤もデカすぎるから半分だけしか無理やったけど」


「だからってあんな…」

少し立ち直った叡刃。とはいえ顔はまだ真っ赤である。


「しゃーないやん。舌噛み切ろうとしてたんやし」


いけしゃあしゃあとのたもうバルト。叡刃が更に言い募ろうとした時、エドガーが口を挟んだ。

「叡刃、それぐらいにしとけ。バルトもあんまりからかうな」

「へーへー」


イマイチ反省しているのかわからないバルト。エドガーは再びため息をついた。



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