Dragon Hunter〜月雲花風〜
ここはフォルテ王国の王都スフォルツァ。ハミルトンはそこで王都警備隊の隊長を勤めている。かつてはエドガーも所属しており、ハミルトンの前の隊長であった。その人ありとまで謳われたエドガーだが、ある事件のあと、職業を代えた。後を引き継いだのがハミルトンである。
王都警備隊詰め所
懐かしいたたずまいにエドガーは少し目を細めた。自分は二度と戻らないと思っていたのに。
中へ入り、ハミルトンは自室に入ると人払いをした。そんなに重大なことなのだろうか。
誰もいないので、部屋に備え付けのキッチンでハミルトンは自分で二人分のコーヒーをいれた。
煎れたてのコーヒーのよい薫りが部屋に広がる。一口飲んでからハミルトンはおもむろに口を開いた。
「単刀直入に言います。あの《紅-クリムゾン-》が壊滅しました」
カチャンと音がした。余り感情を表に出さないエドガーが、驚愕に目を見開いている。
「しかも、壊滅させたのが、12歳の少女なんです」
詳しく話せというエドガーの視線に頷き、ハミルトンは話し始めた。