Dragon Hunter〜月雲花風〜
 未だ避難が完了していなかった街は一気に混乱に陥り、もはや警備隊だけでは手に負えない状況になっていた。

 シールド展開に魔力を注いでいたエドガーには、もはや大規模な魔術を行う余力は残されておらず、またいかなる広範囲遠距離攻撃手段を持たない叡刃にも町中に散ったドラゴンを一挙に殲滅することは難しかった。


 加えて彼らの行動を鈍らせていた理由はもう一つある。彼らの上空で唯一人ドラゴンと交戦中のバルトだ。

 本来ならばエドガーが魔力で空中に足場を作り、叡刃も空中戦に参加する。いくら桁外れの戦闘力を持っているとはいえ、一人でS級ドラゴンに立ち向かうのは無謀といえた。


 ならば空中戦ではなく地上戦に持ち込めばいいものの、真下が市街地であるため安易に行動に移せない。

声がしたのはその時だった。


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