Dragon Hunter〜月雲花風〜
「君の手当てもしないといけない。血まみれじゃないか」

警備兵の一人がそう言うと、彼女は凄絶に笑んだ。

「ほとんど返り血だ。私は《紅-クリムゾン-》のザクロ」

そこまで言って彼女はさもおかしそうに喉を鳴らした。

「ククッ。もう《紅-クリムゾン-》ではないか…。かの組織は私がさっき潰したんだから」

絶句する警備兵たちに向かって底冷えのする視線を彼女は向けた。

「嘘だと思うなら見てくればいいさ。ああ。気をつけな。生き残りがいるかも知れないから」


 ハミルトンは連れてきた警備兵の中から3人選んで屋敷の中を見てくるように指示を出した。






 数分後、彼らは戻ってきた。一様に真っ青な顔をしている。一人などは今にも吐きそうだ。

「申し上げます。屋敷の中の隠し扉の奥に《紅-クリムゾン-》の拠点がありました」

「中はどうなっていたんだ?」

 ごくりと報告していた警備兵は唾を飲み込んだ。


「中は、………血の海でした」


< 4 / 40 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop