Dragon Hunter〜月雲花風〜
もちろん断ろうとしたバルト。しかし、叡刃にキラキラとした笑みを向けられては強く出られない。
「うっ………」
くつくつ笑ってエドガーが言った。
「決まりだな。ハルシオンに行こう」
「エドガー、お前まで。せやけど、こいつどないすんねん」
「あ、それなら死んだことにしておきますよ」
その場にいた全員の視線がハミルトンに集中した。
「ちょうど牢もあの様ですし。ドラゴンに襲われて死んだということにすればいかがかと」
そう言い切ったハミルトンにエドガーは呆れたように呟いた。
「お前、成長したな」
「そうと決まれば、早速出発だね」
「待て」
うきうきと今にも街を出ていこうとする叡刃をエドガーが止めた。
「叡刃、そう逸るな。先ずは休息を取ろう」
もはや反論する気力も無くなったバルトは頷くしかなかった。
(ま、なんかあったら俺がなんとかすりゃエエか)
夜がゆっくりと明けていく。これからは太陽の領域。彼らの先に待つのははたして。