玲子と泥棒と先生
身寄りのなかった桐生は施設にあずけられました。
しかし、母親をあんな風に亡くした桐生は人を信じることなど出来ません。
それどころか人に近づくことさえ出来ずにいました。
いつでもおどおどとして、上目遣いで人の機嫌を探るような子だったのです。
最初はよってたかっていじめられました。
でも、仕舞いには気味悪がられて、相手にもされなくなっていました。
施設ばかりか学校でも、桐生の居場所はありませんでした。
桐生の存在価値などなかったのです。