玲子と泥棒と先生
でも、一所懸命に話す先生を前に、桐生は先生の胸ばかり見ていました。
そして、おもわず先生の胸に手がのびたのでした。
反射的に先生は桐生の頬を張りました。
桐生自身どうしてそんなことをしてしまったのか、わかりません。
もしかすると、先生にたいして母を求めていたのかもしれません。
本当は心を開いていたのかもしれません。
しかし、何もわからぬまま、結局は先生の前から姿を消してしまいました。
中学一年の秋のことでした。