玲子と泥棒と先生
桐生はそれ以来、いつでも一人で生きてきました。
小柄で気が小さく身寄りのない中学生です。
仕事などあるはずもありません。
食うに困った桐生に残された道は、泥棒になることでした。
桐生にはその才があったのかもしれません。
身が軽く、臆病で、神経の細やかなところなど泥棒に適していました。
その後も友達など一人もできませんでしたし、ましてや恋人などいるはずもありません。
将に天涯孤独の身の上でした。