玲子と泥棒と先生
3
桐生の母親の墓は事故現場より更にバスで一時間ほど登った、奥まった小さな温泉街にありました。
今は途絶えた桐生家の墓に入っているはずです。
あやふやな記憶をたどり、その墓を探していた時のことです。
桐生は意外な人を目にしました。
「先生・・・」
すっかり年をとってはいましたが、確かに先生に間違いありません。
上品な眼差しはあの時のままです。
後をつけると近くの中学で教師をしていることがわかりました。