玲子と泥棒と先生
その後も、昼となく夜となく、ふたりは話をしました。
それはまるで懺悔しているようでした。
切り出したのは桐生の方からでした。
玲子の葬式を覗いてみようと誘ったのです。
不倫相手だった上司がどんな顔をしてやって来るのか、見てやろうってことになったのです。
玲子の悲劇的な死をうけて、参列者は多数にのぼりました。
元同僚達も皆来てくれました。
しかし、その列に肝心な彼は含まれていなかったのです。
桐生は玲子の肩をそっと抱き留めます。
大丈夫、玲子は強い女です。
毅然として自分の葬式を見守っていました。
そして、何事もなかったかのように、事故現場に戻ってきたのでした。