トリップ
 
 
梨郁は死を覚悟した。
頭の中に今までの沢山の思い出や出来事が過ぎった。


「「死ニタク…ナイ?」」


耳ではなく、直接頭の中に聞こえる声…
「誰…?」

目を開けると、そこは先刻まで自分がいた場所とは違い、何もなく虚無の世界だった。
そっと立ち上がり、無理矢理混乱する頭をコントロールしようとするが、不可能に近かった。
この世界は虚無のはずだが、そうでも無かった。周りを見ると、人が現れては消え、現れては消えを繰り返していた。
「「死ニタクナインダヨネ」」

先程聞こえていた声がまた聞こえてきた。


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