時計塔の鬼
4章 鐘の音に喩えし思い出
Please hear it.
二人ともが言葉を発さずに、しばらくの時が過ぎた。
太陽が山の向こう側へとその姿を隠した後も、残光がまだ夜には変わらない街を薄く照らしている。
その光が、浮かれた気分に変わって、悲しみに私を襲わせた。
先ほどの会話の中で、知った真実。
“シュウはこの時計塔から出ることが出来ない”
それが意味するところは……
“ずっと一緒にはいられない”
ということだ。