時計塔の鬼
「何って制服やん。毎日見てるやろ?」
振り返ったままの俺に向かって、腰に手を当てて胸を張った少女は、なぜか勝ち誇ったように笑った。
その笑みを見れば、いやでも察しが着いた。
彼女が何を俺にさせたいのか。
「つまり、これを俺が着ろと?」
「そういうこと! 言わんでもわかってるやん、さっすが鬼の兄さん!!」
「…………」
制服一式に近寄ろうともしないでいると、言葉を発さず、少女は剣呑に細めた目でもって俺を睨みつけてきた。
だが、それくらいで俺が屈するはずがないだろう。