時計塔の鬼
しばしの逡巡の後、少女はボソリと答えた。
「うちな、明日転校すんねん。それで、学校とお別れするため」
緩んでいた顔が引き締まった。
いきなり何を言い出すかと思えば、だ。
転校?
「なんで? って顔してるなぁ~」
当の少女は、俺の顔を見てクスクス笑いやがった。
ついさっきまで俯いていたのに、この変わり様は何なんだ。
一体何なんだ、こんなにも俺をイライラさせるモノは。
「……そりゃそうだろ。理由は?」