時計塔の鬼


さらにその翌日。

今日は昨日よりも風が強い。

舞い込んで来た常よりもはるかに多い花びらが、それを物語っていた。

太陽は連日の出勤に疲れでもしたのだろうか、今日は雲に覆われていて見ることはできない。

僅かにその光がコンクリート色の雲の隙間から落ちてくるのを眺めるだけだ。

吹き込んで来た花びらは、手すりの内側に少し積もり、床の鼠色のコンクリートを薄紅色に変えていた。



それを見て、ふと、この花びらの樹と同じ名前を持つ少女のことを考えた。



今日までなんだっけ。



手すりに腰かけていたが、弾みをつけて降りた。

昨日、俺が隠れた後、少女は溜め息を吐いて出ていったのだ。

返事が聞けていないので、彼女が今日も来るかどうかはわからない。


今日も、来ればいいのに。



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