時計塔の鬼

existence named an ogre.

―Side Shu―…




なんだったんだろう。



久しぶりに目が覚めて、街を見下ろしていたら見たこともない女の子が登って来た。



肩よりも少し長い、真っ直ぐな漆黒の艶髪を揺らして。

少し幼さの残る顔立ちは良い部類の中でも、さらに良い方だろう。

けれど、纏う雰囲気はすでに大人と何ら変らない。



彼女は俺の顔を見るなり固まった。


けれど真っ直ぐな黒い瞳で見つめられて、気がついたら声をかけていた。




見られてすぐに姿を消していれば、あの女の子にとってはただの夢だったのに。



ああ、そうだ。

夢で終わらせることが正しいことだったろうに。



でも人に会ったのは本当に久しぶりだ。



だからか、面白そうでつい、話をしてしまっていた。




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