時計塔の鬼


でも、もしも……もしも、さくらが願ったような、そんな日が来たならば。


あいつはまた、俺の前に現れて、

“ようやったややん”

と、あの関西弁というおかしなイントネーションで言ってくれるのだと、信じたい。




星も無く、月も無く、太陽も無い空の下。

鬼である俺は、まるで人間たちがするように手を組み、祈った。


作法なんて物があるのだとしても、俺にはわからない。

ただ、心から願うだけだ。


膝を着いた時計塔からの冷たさが全身に伝わっても、雲が晴れて朝陽が現れるまで、俺は祈りを続けていた。



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