時計塔の鬼
『聞きたいのはそうじゃない』
ボソッと呟いて口を尖らせたかと思うと、プイッとそっぽを向いてしまったシュウ。
拗ねた子供のような仕草に、ふふっと笑ってしまう。
シュウが言いたいことは、分かってる。
『なぜ、一緒に居るということが、教師になることに繋がるのか』
シュウは無言のままだけれど、その沈黙は説明を求めているように思えた。
「シュウは時計塔から出られないんでしょう?」
「……ん」
返事ととれるのは、相槌のようなただの一音。
先ほどまでの沈黙から来る気まずさがそうさせているのかもしれない。
でも、そんな子供のようなシュウを可愛いと思ってしまう自分がいることを、今の私は知っている。
それが決して不快ではないということも。