時計塔の鬼

「つまり、一緒に居るためには私がここに来るしかないということでしょう?」


「……ん」


「そういうこと」


「……なんでそこで話が一気に飛ぶんだ?」



こちらを振り返ったシュウは眉を少しだけひそめていた。

やっと、単語だけでない言葉を話したシュウ。

その声には、拗ねたことを気にする気配が少しだけあって。

私はまた、くすりと笑ってしまった。



「教師なら、卒業した後この学校にいても不思議じゃないでしょう?」


「ああ、そういうことか」



納得した様子のシュウに、ホッと息をついた。

もう拗ねた様子を彼からは見受けられなくて、そのことに少しだけ、安心できた。

笑いかけてくれることが、ひどく嬉しい。



< 152 / 397 >

この作品をシェア

pagetop