時計塔の鬼


夕日の沈む、少し前。

私が時計塔に上ると、そこにはいつも、彼がいる。

少し老けたものの、昔と変わらない優しい笑顔を浮かべたシュウが。



「夕枝」


「シュウ、おはよう」


「もうそんな時間じゃねぇし」



クスクスと互いに笑いながら、大好きな、暖かくて愛しい腕の中へと飛び込む。

私が大学生だった四年間は、さすがに毎日塔に来ることはできなかった。

たまにしか出来なかった逢瀬。

それが、これからは頻繁な逢瀬に変わる。

ほとんど毎日、会える。

そう思うと、たまらないど嬉しくなった。


この腕の温もりが、恋しくて、愛しくて、たまらない。


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