時計塔の鬼
第二部
the third year.
薄紅色の花弁が宙を舞い、固く閉ざされていた蕾がゆっくりと花を咲かせる。
春。
時は巡って、またその季節がやって来た。
春は、別れの季節で悲しみを誘う季節。
けれど、それは出会いの季節であり、喜びを運ぶ季節でもある。
「おはようございます! 沖田先生」
「おはようございます、今年度もがんばりましょうね。坂田先生」
朝からハイテンションに話しかけてくる、母校出身の同期生であり、この学校の時の同級生を適当にかわし、足早に職員室を出た。
向かうのは、新一年生の教室。
この学校を卒業した時は十八歳だった私も、
今ではもう二十四歳のオバサンになってしまった。
教師生活も、この学校での勤務も、三年目を迎える。
月日が流れていくのは、とても早いことだと最近は常々そう思う。
けれど、その流れが愛しくも思える。