時計塔の鬼
at the end of a day.
二人と別れてから、私は足早に……誰も見ていないと知ると、駆け足で向かった。
向かうのは、時計塔。
シュウのもとへ。
逢いたい、とひたすらに願う。
逢って、胸に飛び込んで、ゆっくりと抱き締めて欲しい。
軽口を叩きながらでも、優しく私の頭を撫でて欲しい。
優しい瞳で見つめて、優しい声で語りかけて、優しく私に触れて欲しい。
好き。
大好きなんて、面と向かってはなかなか言えないんだけれど……私はシュウが、好き。
止められない想い、というものも確かに存在するんだ。
いつかの日と同じ。
初めてシュウと想いを通じ合わせることができた、高校生のころと同じ。
シュウに逢いたいって気持ちは、時が経って、歳をとって、大人になっても……。
決して、色褪せない。
変わらない。
無くなりなんかしない。
減りなんかしない。
むしろ、強くなる。
二階の連絡通路を通り抜けると、目の前には時計塔。
上へと、シュウへと続くその階段を駆け上がる。