時計塔の鬼
名残惜しさを抑え、私は時計塔を後にした。
夜の学校から、夜の街へと出る。
そこここに街頭が灯り明るいけど、昼間程の明るさはなく、どこか歪んだ、寂しい明かり。
それらから離れると、月の光が私の帰路を照らし出す。
独りになる度、シュウへの想いが切なく募る。
明日……。
そう思っても、その時までの夜が長い。
だけど、それはシュウも同じ。
私は夜が嫌いだ。
私にとって、一日の終わりはシュウと別れるあの時。
夜なんてただの付属品に過ぎない。
そういえば……。
今日のシュウとのやり取りを思い返した。
「気をつけろって、何になんだろう……」
ふっと沸いた疑問を打ち消すように首を振り、私は歩く足の速度をあげた。