時計塔の鬼
彼女は、お局的存在の女教師。
三十歳の独身貴族。
歩美曰く、新米女教師の天敵ともいえる存在。
それが、目の前に現れた。
「ひ、土方先生……」
「だいたい、常々言おうと思っていましたが……なんです、その落ち着きのなさは。井上先生、あなたもですよ」
「は、はひっ」
嫌味トークに歩美の声はうわずっていた。
三角メガネも、メロンパンの形のおだんごも怖い。
おツボの軽い説教を受けながら、「ドジった……」と思わずにはいられなかった。
“おツボに関わるべからず”
“触らぬ神に祟りなし”とはよく言ったものだ。
そうして、おツボの説教は、彼女が職員会議に呼ばれるまで延々と続いた。