時計塔の鬼
the good news.
「おっはよー! ……って夕枝、その顔何っ!?」
翌朝。
出勤してきた歩美に職員室で叫ばれてしまった。
オマケに、肩を掴まれて前後にガクガクと揺さぶられる。
頭の中が……シェイクされる……。
そんな危機を感じながらも、周囲のギロリと効果音のつきそうな視線が痛いと思う。
土方先生……睨まないでください、怖いから!!
こっそりと内心でギャラリーに叫びながら、歩美にしーっと口に指を当てて黙らせた。
「そんなに顔ヒドい?」
「かなりヤバい」
即答されてちょっぴり心にトゲがささった。
しかも“ヒドい”が“ヤバい”に変わってる辺り、女として救われないのかもしれない。
もう少し言い方を柔らかくするとか配慮して欲しかった、と深く思う。
それほどヤバい顔でシュウに会うのは、一応、二十四の女としてはためらいを覚えた。
今日は何かと理由つけちゃおうかな……。
シュウに心配をかけたくはない。
最近はやたら過保護な彼のことだから、懇々とお説教をされるかもしれない。
それだけは、是非とも避けたいことだった。