時計塔の鬼
――ズキッ
「う゛……」
や、やば……いのか?
こ……れ……。
思考力も判断力も理性も何もかもを打ち消してなお、俺の頭はひび割れるように痛みを訴えてくる。
それに伴って、ひざに衝撃が走った。
力が入らずに、崩れ落ちてしまったんだ。
そう、俺が自分の状況を理解したのは次第に薄れてゆく意識の狭間でだった。
“夕枝……”
あいつの名を呼んだつもりだったが、声に出ていたかどうかは今の俺には知る由もなかった。
頬に当たる冷たいコンクリート。
それがこの時の俺の意識の終止符になった。