時計塔の鬼
「その鬼って今いくつなの!?」
「え、いくつ……だろう?」
「知らないのー? ま、いっか。じゃあ、かっこいい?」
シュウを思い浮かべる。
艶のある、色素の薄い髪。
それは緑がかった黒色。
長身で、綿密な計算のようにバランスのとれた体。
……あれは、かっこいいなんて言葉で表わせきれるものではないだろう。
「……めちゃくちゃ、かっこいい」
もう、恋の欲目と思われても仕方がない発言だった。
けれど、それ以上の言葉を私は知らない。
誰か、教えてくれるのなら教えてほしい。
一応現国の教師だけれど、彼を表わす言葉なんて、そうそうには思いつかない。
「きゃー! まじでまじで!? 一度会ってみたいわー! あ、どこに住んでるの?」
――ギクッ…
この質問に、私は一番の緊張を強いられた。
けれど何とか、重々しい口を開く。
「時計塔……」