時計塔の鬼
「? どこの?」
「私たちの勤めてる学校の」
「…………」
しばらく、間があった。
おそらくは、歩美の中での情報処理をしている時間。
そして――。
「ええええええぇぇええーっ!?」
真夜中、広くはない部屋に歩美の素っ頓狂な声が響き渡った。
明日、大家さんに怒られるのは間違いないだろう。
ああ、大家さん怖いのに。
「ちょ、ど、ちょっとどういうことなの?」
「あ、歩美、説明明日じゃ、ダメ……?」
「説明するまで寝かさないわ!」
明日、寝不足になることを宣言されて、思わず溜め息が出たけれど、同時に愉快な気分にもなった。
もう、今さらだ。
話すことも、明日大家さんに怒られるであろうことも。
そうして、私は、シュウとの長い恋の話を、歩美に語ってきかせた。