時計塔の鬼


「シュウっ! 人を驚かして楽しむの、いい加減に止めなさいよ!!」




こちらがどれほど怒鳴っても、シュウは素知らぬフリをしている。


しかも余裕癪々として。




その飄々とした態度がまた勘に触る。


なんとなく、気に食わない。




彼の様子にまた私が腹を立てる。



「ちょっと! 真面目に聞いてるの!?」




ここ最近、お決まりになったやり取り。



彼は肩を震わせてくすくす笑う。



「シュウ!!」


「ちゃんと聞いてる」




微笑みかけられる。




「真面目に、じゃねぇけどな」




ほらすぐこれだ。


そして、茶目っ気たっぷりにそう付け加えられた。



< 30 / 397 >

この作品をシェア

pagetop