時計塔の鬼
―Side Yue―…

昼一の古典の授業中。



机に肘を突いて、定年間近の教師の話を聞く。


その教師の声は、掠れていて聞き取り辛いだけでなく、抑揚がほとんどない。



眠い。

まるで子守歌のよう。



坂田君はもちろん、クラスメイト達の半分も、すでに眠りの世界へと旅だった後だ。




もうだめだ、と見切りをつける。


結局、授業開始から十分も経たない内に窓の外に目をやることとなってしまった。




視線の先にあるのは、時計塔。




シュウ。



心の中で、そっと鬼の名前を呟いた。




『ね、シュウ』


『……何?』


『授業中はいつも何をしてるの? することとかないんじゃない?』


『否、あるけど』


『何?』


『寝ること』


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