時計塔の鬼
「マジかよ……」
ぐしゃり、と自分の髪をかいたらしい音がして、シュウはすぐさま私の背中を押した。
再び振り返ると、苦笑を浮かべたシュウの顔がそこには在った。
「塔の入り口まで、送ってく」
「でも……」
「シュウ、あんた倒れたばっかりやん」
さくらさんが冷静にツッコミを入れた。
さも呆れました、といったような声音。
けれど、その言葉にひどく賛同する。
「だいじょーぶ。それより、暗いんだから急げ。でも足元は気をつけろ」
「矛盾してるって自分で気づいてる……?」
「してて悪ぃかよ」
「いーや、別に?」
「……ほら、急げ」
ぽんっとまた背中を押され、渋々四人とも塔を下りる階段へと向かった。
最後の私が階段に足をかけたのを見計らったように、シュウも一緒になって降りてきた。