時計塔の鬼
だけど今日は“先客”がいた。
――バチリ
やっと階段を登り終えて、屋上へ顔を出した時、その人と目が合ってしまった。
こわい。
まず、そう感じた。
そこに立っていた彼があまりにきれいすぎて、それが恐ろしく感じられてしまった。
そうして気がつけば、目が奪われていた。
だけど、頭の中では忙しくその人を観察している。
肩より少し長い色素の薄い髪を風にたなびかせている。
触らなくても、その髪がサラサラしているのがわかる。
瞳は、黒色……?
逆光でよくわからないけど、深緑に近いのかもしれない。
身長は、かなり高いと思う。
180cmくらい……
……否、多分もう少しあるだろう。