時計塔の鬼



いくら寒くなったとしても、それでも、私は時計塔に昇るんだろう。




自分らしい、そんな予想にクスリと笑えてくる。




けれど……それはなぜなんだろう。






"シュウに会うために?"




突然頭に浮かんだ、その言葉。



フルフルと頭を左右に振り、その考えを否定する。




違う。

きっと、違う。




首を振った反動か、頭が少しボーッとしているみたいだ。




違う。


私は夕焼けを見るために、時計塔に昇るんだから。




シュウに会うためなんかじゃないはず。





決して……


“会いたいから”なんていう理由ではないはずなんだ。



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