時計塔の鬼
今は……?
ついと勉強机に目をやった。
そこには目覚し時計が置いてある。
時計の針は“五時”を指していた。
私は、長い時間、気を失ってしまっていたんだ……。
沸き上がってきた、不思議な感慨と共に、そう思った。
階下から、物音が聞こえる。
お母さんか妹、もしくは両方が一階に居るのだとわかる。
きっと、終業時間が終わっても目を覚まさない私を母親が引き取りに行き、今は夕飯の準備をしているのだろう。
せわしない足音と、ドアが開閉する音。
それらがどこか遠くの出来事のように感じた。
けれど。
そんなことよりも。