時計塔の鬼
薄暗い部屋。
私はスプリングのきいたベッドでうずくまっていた。
足元近くにある白いシーツの皺が、波紋のように見える。
すると、階下から私の名を呼ぶ声が聞こえた。
どうやら、夕食の時間であるらしい。
……食べたくない。
本当に食欲が沸いてこないんだ。
お腹が空になっているのは感じるけれど、その感覚と、“食べたい”という欲が結び付かない。
声に何の返答もせず、しばらく温いベッドの中にいると、ドアの外側から物音が聞こえた。