時計塔の鬼



お粥の鍋を持って来てくれた母親に礼を言った。



まだ、声に熱が灯っていた。




黙々とお粥を運ぶスプーンを時折止めては、冷えた水で吐き気ごと、ふやけた米を押し流す。


気を抜くとすぐに込み上げてくる吐き気と戦いながら、水の入ったコップを片手に食す。



そしてとうとう、鍋の底を全部見ることができた。





「はふー……。ごちそうさまでした」





食べた。

食べきった。


これで、元気になれるはず。





……早く、学校で


時計塔で


あの笑みを……。






シュウの笑顔を思い浮かべていると、突然睡魔に襲われて。



そしてベッドに横になると、あっけなく意識が途絶えてしまった。


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