時計塔の鬼
in a diary dream.
『なぁ』
『何?』
夕焼けを眺める私の隣で、シュウは同じく夕陽を眺めながら、尋ねた。
『なんで、お前は毎日ここに来るんだ?』
『私はお前って名前じゃないわ。夕枝って名前』
『……夕枝はなんで、毎日ここに来るんだ?』
『夕陽を見たいから』
『ふぅん。そ』
『…………』
少し不満そうな含みを持った受け答え。
チラリと横を見れば、シュウは口を尖らして、街並みを眺めていた。
いつ見ても、欠けている所も不十分な所も見つからない、完璧な美貌がそこにあった。
見慣れて来たとはいえ、やはり美しいその横顔には、折々でハッとさせられる。
今は夕陽の効果もあるけれど、やはり美しいと再認識してしまった。