時計塔の鬼
シュウっ……。
会いたい、よ……。
ただ、それだけ。
それだけしか考えられなくて、二階の連絡通路を走ってた。
スカートが足の間に絡まって、裾ははためいていた。
ブレザーの重みなんて、今は少しも感じられなかった。
ぐんぐんぐんぐん
廊下が迫っては、後ろへと流れていく。
まるで、電車の中に居るように、景色が次々に流れていく。
何かに取り付かれたのように必死に走る姿は、生徒たちの目にさぞや奇妙に映っていただろうけど
私にとっては、周りの目なんて、どうでもよかった。