時計塔の鬼


ハァ、ハァ……。



時計塔の入り口に着く頃にはもうすっかり息があがってしまっていた。



それでも、

急ぐことは

止められない。




ふふっ、と

小さく笑みが零れてしまった。



走ってる時いきなり止まれないのって、人に恋する気持ちと、同じかもしれない。




長い廊下を走り抜け、階段を前にして立ち止まった時、そんなことを考えた。




そうして

すぐに


階段を二段飛ばしに駈け登り始める。





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