時計塔の鬼



そっと耳をすませると、服越しに確かにシュウの心臓の音がする。


温かい、生きている証。



抱きしめられて…

抱きしめて…


この温かさは、今、私たちが抱きしめ合っている証。





塔の外の声が遠い。


まるで、この塔だけが別世界みたい。


二人だけ。

二人きり。



なんだか、すごく……とても、幸せに思えた。








神様……

お願いです。


これが夢なら、

本当にお願いだから

どうか、


覚まさないで……。




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