恋に恋する五秒前
玄関前に着くと、ポストを見た。
[橘ハルキ様]・[橘ハル様]・[橘ハナ様]・[橘ハルカ様]宛ての手紙が来ていた。
私の家族の名前は父から妹までみんなハが付く。
ドアを開けると愛犬のハルトが走って来て、その後に続いて母がやって来た。
「あらハナ!!今日はずいぶん早くない?? お母さん、ハルカかと思っちゃった。」
「ハルカまだ帰って来てないの?!」なぜか生ぬるいスリッパに履き替えてリビングに入る。
「中学入学して調子乗ってるのよ!可愛いじゃない!!」
「まぁね!!それより今日ハルキは??」
「パパ?! そうね~そろそろ帰ってくるはずよ」
「そっかぁ~。今日ね、太田に帰っていいぞ!って言われたから帰ってきたんだ」テーブルに置いてあったクッキーをかじりながら言った。
「それって怒られたの??」
「違う違う。そういう意味じゃないよ!!」
「ならよかったわ!!」
目がいかにも回りそうな階段を昇り、2階にある自分の部屋に入っていった。
隣の部屋は弟のハルカ。
夜になるとハルカが飼っているハムスターが暴れだして、少しこっちまで音が響く。